アトピーの保湿剤

保湿剤とは一体どのようなものでしょうか？
肌の機能の低下や損失している角層の水和能とバリア機能を補ってくれ、さらに皮膚への水分の補給と保湿を目的に使用するものです。
簡単にいえば皮膚を少しでも正常皮膚に近づけて、より良い状態に肌を保つ製剤、人工的に作成された皮脂ともいえます。
本来、皮膚がもっている天然保湿因子はアミノ酸で吸保湿性の高い水溶性物質なのです。 ですから角層に水分を補給する吸湿性、それを維持する保湿性とを併せもつ水和性が必要です。
たとえば乳酸ナトリウム、グリセリンなどの吸湿性の高い物質は低湿度で水保持力が低いため、水溶性コラーゲンやヒアルロン酸などの吸湿性は低いけれど、保持力の高い高分子系保湿剤が併用されます。
さらに水の透過性に関するバリアは脂質ですが、アトピー性皮膚炎の皮膚は細胞間の脂質の主成分であるセラミドが減少していることから、これらのことをふまえてアトピー性皮膚炎の角層は元来機能低下がある、単に水分調節のみならず皮膚生理機能をも保つ保湿剤が必要となってきます。
すなわち合成セラミド、コレステロールエステル、アシルアミノ酸コレステロール誘導体などが開発され、これらの配合された保湿剤が用いられてきています。
さらに保湿、つまり角層の水分保持とセラミドを主とする細胞間脂質膜のバリア性を保ちながら水と油性成分とのバランスのよいものが、アトピー性皮膚炎にふさわしい保湿剤といえるでしょう。

保湿剤にはどのようなものがあるのでしょうか？
また、角層の乾燥を保護するためや水分を補給するためにどのようなものを使えばよいでしょうか？
角層の保水力を高めたり保つために尿素やヒアルロン酸やアミノ酸やグリセリン、ヘパリン類似物質などを含有したものを使用します。
さらに水分の喪失を防ぐにはスクワランやオリーブ油、つばき油、ワセリンなどが良いでしょう。
そのほか合成セラミドなども用いられます。
保湿剤の種類には一般医薬品や医薬部外品や化粧品としてこれらが配合された保湿剤がいろいろ作られていますので皮膚の状況にあわせてしっかりと選択していかなければなりません。